『睡眠負債大国』日本。その影響と私達の取るべき手段は?

睡眠負債とは
"昼寝が効率的?!積極的仮眠、『パワーナップ』でパフォーマンスをあげよう 1/2"でも紹介させていただいたが、2017年にはユーキャン新語・流行語のトップ10に選出された言葉で目にしたことがある方も多いと思います。
スタンフォード大学のウィリアムデメント氏が提唱した言葉で、日々の睡眠不足が借金のように少しずつ蓄積していって、やがて心身共に不調を来してしまう事をあらわしたものです。
『睡眠負債』に陥ると、どんな悪影響があるのでしょうか。
睡眠負債の及ぼす影響
体への影響
睡眠負債は、睡眠不足が蓄積した状態を表している言葉です。
睡眠不足、寝不足という状態は皆さん、経験があるかと思います。
この状態は主に、体が疲労から回復しきっていない倦怠感を覚えたり、集中力や注意力の欠落といった日々の知覚しやすい影響から、高血圧や肥満のような生活習慣から来る病気などの原因につながるといわれています。
心への影響
睡眠不足の状態は、精神にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
国立精神・神経医療研究センター(2013)の研究によれば、睡眠不足の状態はネガティブな刺激に対して、より過敏に反応するようになり、抑うつ状態傾向が強まることが報告されています。(http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0056578)

日本は睡眠負債大国?
そんな心身共に悪影響を及ぼしてしまう睡眠負債ですが、日本ではどうなのでしょうか?

こちらは以前にもお見せしたグラフで、OECD・経済協力開発機構の調査”OECD Gendar data portal 2021 Time use across the world"では、日本人が一日に睡眠に費やす時間は最も短い「7時間22分」であるとしています。
また、テレワークと会社出勤が交互に行われるハイブリッド出社の時代、生活リズムの変調から睡眠リズムが乱れてしまい、睡眠不足に陥っていることは容易に想像されます。
それでは私達はどういった対策をとればいいのでしょうか。
寝すぎもダメ
「睡眠負債というのだから、休日は昼まで寝て日々の睡眠不足を解消しよう!」「次の日の分まで寝だめしよう!」といった考えを持っている方は少なくないかと思います。
実はその方法は間違っているんだそうです。
英国のウォーリック大学は、ABCの3グループに分け睡眠に関する比較調査を行ったのですが、非常に興味深い結果となっています。
A: 1日の睡眠時間が、6時間未満
B: 1日の睡眠時間が、6~8時間
C:1日の睡眠時間が、8時間以上
といった3グループに分けて大学は10年間100万人以上を対象として、睡眠習慣に関して比較検証をおこなった結果、Aの6時間未満のグループは、Bのグループに比べ、12%死亡率が高くなったことがわかりました。
ただ、より長時間寝ているはずのCのグループは、Bのグループにより、なんと30%も死亡率が高いという事実が判明しました。
つまり、寝すぎは決して健康によくないという結果を示したことになります。
その原因として考えられているのは、8時間以上の睡眠により、動脈硬化の原因とされる中性脂肪が増え、かつ善玉コレステロールも減らしてしまう傾向からだと言われています。
こういった長期的な健康への悪影響だけでなく、短期的に見ても夜の本睡眠前に、長い時間の昼寝やだらだらとした睡眠は、逆にその日の本睡眠を阻害してしまい、睡眠不足を招いてしまいます。
毎日しっかり寝ましょう。
以上のことから、わたしたちが睡眠不足を改善するには日々の本睡眠をしっかりと取ることが重要なのだとわかります。
そうするにあたって必要なポイントはいくつかあります。
- 寝る直前までスマートフォンやテレビなどの明るい画面を見ない
- 寝る数時間前までにはカフェインの摂取を控える。
- 昼寝や仮眠は手早く短めに。
こういった取り組みから先ず始めて見てはいかがでしょうか!